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チャッピー    幸せは谷戸をわたる風にのって
                         立木洋子 / 著

  誰でもお友達
 外で犬に出会うと爪先立って近寄り、尻尾を振って挨拶した。その頃実家で飼っていた大型犬の母娘と仲良くしていたせいもあって、どんな大きな犬も平気だった。無防備に接近するものだから、気難しい相手にはよく怒られた。飼い主を振り切って突進してきた秋田犬の口の中に(鼻面はもちろん)目の下まで入ってしまったときも、わりとすぐにケロッとしていた
 もしかして内弁慶?
 「ここの家には犬はいません。」留守番のときは、どうやらこんな感じ。なるべく目立たないように、ひっそり過ごしていたらしい。(結構情けない。)間違って外に出たものの、今度は戻れなくなって垣根に張り付いていたこともあった。暗がりの中、オロオロした目が「ごめんなさい。」と言っていた。

 林檎が好き
 カバー付犬布団、ドッグフード、(畠山)重忠最中、わが家に来た時チャッピーが持って来たもの。それに”林檎が好き”と付け加えがあった。後でその付け加えが半端でないことがよーくわかることになる。”林檎”と聞いただけで期待に身を震わせた。サクサクサク…といい音をたてながらおいしそうに食べた。それは最後の日までずっと続いた。いつの日から銀杏切りになり、さらに擦りおろし林檎に変わってはいたが…。
 3回だけだよ!
 身軽なチャッピーはフリスビーやお手玉のキャッチが得意。夫のゴルフ練習にもよくつき合わされていた。チャッピーが来た80年代後半は、わが家の周りにもまだ緑がたくさん残っていて(勝手に○○フィールド、○○ハイランドなどと呼んでいた)雑木林や藪に消えたゴルフボールをくわえて来るのだ。でもサービスは必ず3回まで、呼ばれても「そーんなにつき合っていられないよ!」と聞こえないふりをして遊んでいた。

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チャッピー
ー幸せは谷戸をわたる風にのってー

2004年10月10日 発行
著者・発行者/立木洋子

製作・印刷・製本 岡本出版株式会社

つづく

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