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チャッピー    幸せは谷戸をわたる風にのって
                         立木洋子 / 著

しなやかな夏の日に
(5歳〜8歳)
 油断するとデブ
4,5歳になったチャッピーはつやつやの長毛に加え骨格もがっちりしてきた。わが家へ来た頃とはとても比較にならないほど立派な成犬に成長したのだ。ところが、油断するとすぐ太る。それで食事の量を少し減らすとなんとか現状維持。もともと牧羊犬だったシェルティーは、狭い庭であちこちぶつかりながら走っている程度では運動量が足りず、太りやすいことがよくわかった。
 器用な鼻
 すきを見ては室内に突入して来るチャッピーも、網戸は突破できなかった。それで玄関にも取り付けることにした。開けっ放しはさぞかし涼しいだろう…と思ったのだ。「できたよ。」と汗を拭き拭き入って来た夫のすぐ後ろにチャッピーがいた。翌日取り付けた鍵も尖った鼻先で弾みを着けてドンッと、1回ではずし方を覚えてしまった。大好きな車に乗ると荷台から後部座席、助手席へと来てしまうので高価な純正部品を取り付けた。犬も人間も乗って「さあ、出発!」と同時に二人の顔の間でハアハア生臭い息がした。細く尖った鼻先さえ通れば、いともたやすくすり抜けてしまうのだ。この”鼻技”は歳を重ねるほどに上達していった。                                            

 大の字
 シェルティーは毛が深く、とても暑がり。玄関のたたきや敷石の上でよく体を冷やしていた。そのうち毛の薄いおなかを上に大の字で寝るようになった。とはいえ犬の体で大の字はなかなか難しい。首や足の向きを微妙に変えながら舌をはみ出して熟睡する様子はなんだか不思議だった。そこまでしなくてもいいのに…。さすがに長くなるときついのか、宙に突き立てた足を傾けて壁や柱に寄りかかっていた。今になって思えば、体の柔らかい若い犬だからできたこと、いつの頃からかやらなくなった。

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チャッピー
ー幸せは谷戸をわたる風にのってー

2004年10月10日 発行
著者・発行者/立木洋子

製作・印刷・製本 岡本出版株式会社

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