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幸せは谷戸をわたる風にのって
立木洋子 / 著
| 咬まれた〜! 脱走して来た近所の犬に、突然咬みつかれた。夫と散歩から帰って来たその時だった。チャッピーにとっては”お友達”、まったく無防備だったから思いっきりやられてしまった。獣医さんに直行して、すぐに縫合手術。大腿部と耳が貫通、おなかに2箇所深手を負っていた。傷の痛みもさることながら、心の痛手は思いの外だった。それまでのチャッピーは、”犬大好き”、”誰でも友達”だったのだから…。その後しばらく門の外に出られなくなったチャッピーに、夫は少し後悔していた。近付いてきた犬を蹴ろうとしてためらった一瞬があったことを…。(でも、蹴らなくて良かったんだ。) 事件屋チャッピー 見知らぬ人や犬が通ると、庭を駆け回って大騒ぎだった。特に軽自動車とオートバイは目の敵だった。いくら叱ってもだめ。本能がそうさせると言わんばかりの大興奮。「まあ、いくら吠えたところで迷惑かからないからいいか…。(声が出ないもんね。)」と思っていた。でもある日、ポストの前に来た郵便屋さんの顔と同じ高さまで何度も縦にジャンプするチャッピーを見てしまった。垣根越しとはいえ、毎日さぞかしうっとおしかっただろうと申し訳なく思った。(間もなくポストの下まで行けないようにした。) |


| 天敵 友好的なチャッピーにも、”おもしろくない奴”がいた。気難しくて喧嘩っ早いクロ、本当は気弱なくせして町内中の犬に睨みを利かせているミンミン、お互いに姿を見かけただけで怒っていた。声の出ないチャッピーがいくら仕掛けても相手が気付いてくれなくて、なんだか不憫に思ったものだ。そのクロは私たちの知らないうちに姿が見えなくなった。ミンミンとは晩年「アッ、あいつだ…。」と意識しあっていたが、お互いに怒ったりすることはなくなっていた。ミンミンはチャッピーの半年ほど前に、18歳で大往生を遂げた。 次のページへ |


| チャッピー ー幸せは谷戸をわたる風にのってー 2004年10月10日 発行 著者・発行者/立木洋子 製作・印刷・製本 岡本出版株式会社 |
