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音楽の捧げものの小部屋
MIDI集

1747年の春、バッハは、ポツダムの宮殿に招かれた。その主はフリードリッヒ王で、フルートの名手だったとされる。次男のカール・フィリップ・エマニエル・バッハが楽人として王に仕えていた関係で、招かれたという。オルガンの名手だったバッハの即興演奏で王を楽しませていたらしい。現在のジャズに通じるアドリブの世界だ。この時、音楽好きのフリードリッヒ王に8小節の「テーマ」を与えていただき、その「テーマ」による6声の「フーガ」の即興演奏をして絶賛されたらしい。ところがバッハはこの演奏に満足せず、ライプツィッヒに戻ってから、2ヶ月かけて曲を仕上げた。それが、
 ●NO.1 3声のリチェルカーレ(オルガン)
 ●NO.2 無窮カノン
 ●NO.3 各種のカノン
     ・a 逆行カノン
     ・b 同度カノン
     ・c 反行カノン
     ・d 反行の拡大カノン
     ・e 螺旋カノン
 ●NO.4 5度のフーガ・カノニカ(Flute有り)
 ●NO.5 6声のリチェルカーレ(オルガン) 
 ●NO.6 2声のカノン
 ●NO.7 4声のカノン
 ●NO.8 トリオソナタ(フルート、ヴァイオリン、チェンバロ)
              1.Largo  2.Allegro  3.Andante  4.Allegro
 ●NO.9 無窮カノン (Flute有り)

で、これを王に献上した。これが「音楽の捧げもの」だ。楽譜の扉にラテン語で
「Regis Iussu Cantio Et Reliqua Canonica Arte Resoluta」(王の命により主題と付属物はカノン様式にて解けり」としゃれを刻んだ。この頭文字をつなぐとRICER CAR(リチェルカーレ)になる!各種カノンは、さしずめ音楽クイズといったところで、与えられた譜面と表題から謎解きをしなければならない。それぞれに特徴的な工夫が凝らされているのだ。
 バッハの究極のゴマすりは、フルート吹きの王に合わせて、フルートでできる曲を何曲も入れている。当時の音楽家は宮廷や教会に仕え、スポンサーを喜ばせる事は必須条件だったのだ。バッハ晩年、62歳の作品である。ちなみに3年後65歳で亡くなっている。
学生時代、6声のリチェルカーレをギター6重奏にしてやってみた。しかし無謀だった。正確にアンサンブルできるメンバーがいなかった。現在チェロで参加している弦楽アンサンブルで、希望曲として提出し「試し弾き」の機会があった。残念ながら縦の線が正確に合わず、簡単に没になった。残念!いつかやりたいと願っている。
逆行カノン
私が興味をもったカノンの一つで、逆行カノンと名前がついている。2人で並んで譜面を見るが、一人は終わりから逆に弾いていく。ハ音記号が第1線にあるので、第1線がCになる。わざわざヘ音記号で書き直しチェロ2人でやったことがあるが、慣れると逆向きでも結構弾けるものだ。
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2声のカノン
これは、ハ音記号とひっくり返ったへ音記号があるので。ビオラとチェロの2重奏。ビオラは普通に弾く。チェロはビオラと向かい合って譜面を見る。しかも3小節遅れて、右から左に「受け流す!」ように弾いていくのだが、ビオラが 「ド レ ミ♭」と上昇で始まるところを、チェロは「レ ド シ」と下降して追いかけるビオラのレとミ♭は半音、チェロのドと半音はシ、つまりナチュラルに変わることになるチェロの臨時記号は書き換えないと難しい
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