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幸せは谷戸をわたる風にのって
立木洋子 / 著

| はじめに 「15年前のあの日、助手席の私の膝でピョンピョン跳ねていた足、窓の外に向かって激しく吠えた口、高鳴る鼓動…、それらがたった今止まった。体に耳をつけると何か流れのようなものがかすかに聴こえ、やがて静かになった。」(2003.5.3) 覚悟していた別れとはいえ、辛い一瞬だった。癌宣告から6年8ヶ月、本当に一生懸命生きてきた。その直向きさを思うと、熱いもので胸がいっぱいになった。それと同時に、安堵感に似た気持ちも心のどこかにあった。それは、近々来るであろうこの時を、二人して見届けてやりたいとずっと願っていたから。 今年の5月、子ども10人と母さん3人が「一周忌だから…。」と来てくれた。チャッピーがいなくなってから生まれた”赤ん坊”も3人いた。ひまわりのブーケと寄せ書き、”天国のチャッピーへ”の メッセージの入ったテープが供えられた。「チャッピー、ここにいたんだね!」「ひっさしぶりー!」と狭い部屋は大騒ぎ。「1年も経ったのに心にかけて頂いて…」と恐縮すると、「チャッピーはこの子たちの友達ですから。」と母さんたち。長いこと病んだ晩年は、余計に人が好きになって、その分いろいろな人にかわいがってもらえた。幸せの元はやっぱり自分の方にあるのかもしれない。そして、チャッピーの幸せは飼い主はもちろん、周りのみんなの幸せにも繋がっていった。 |


